2005年01月30日

不可逆的な・・・

 生き物のからだというのは思わぬことが起こります。ついさっきまで元気にしていたのに急に変な鳴き方をしたかと思ったらそのまま倒れて息を引き取ってしまったりすることがあります。しかも健康診断では何もひっかかっていないにもかかわらず・・・。飼い主さんにとってこんなに理不尽なことはないでしょう。しかしながら生物学的速度が異なる犬猫では病気の進行も人と比較すれば早いと考えなければならないのです。果たしてどんな原因で亡くなってしまったかということは明言できませんがおおよそ人に起こりうることが犬猫でも起こっているのではないかと思われます。
 治療することばかりに目を奪われがちですが、どんな原因で亡くなってしまったかということを追求することも私たちの獣医学には必要なことであり、ひいてはそれが病気の早期発見につながるのではないでしょうか?あまり死(因)について考えることは避けたい分野ですが、そんなことも医療の進歩には必要なんですね。

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2005年01月28日

同級生との再会

 個人的なことですが、水曜日の夜から木曜日にかけて大学1年生の頃からの同級生と東京にて会ってきました。卒業してから8年ぶりの再開でしたが会社で働くもの、勤務医を続けるもの、自らが院長として病院を経営するもの、診療の話や大学時代の思い出話に花が咲きました。特に現在東京で病院を経営している友達は、院長であり、経営者でもあり、父でもありと忙しい中、時間を作って集まってこれるという友達はこれから先もずっと大切にしなければなりませんね。久しぶりに会う同級生の半分以上が身を固めている今日この頃、病院の経営や診療以外にもそろそろ頑張らないといけないのかな?と考えてしまいました。何にしても久しぶりに同級生と過ごす時間に、これからのパワーをもらえたひとときでした。

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2005年01月25日

ブームで被害を受けるのは・・・

 本日の新聞記事でご存じの方も多いかと思いますが、忠犬ハチ公のモデル犬でもある秋田犬が減少の危機にあるということです。記事によると1972年に登録頭数が約42.000頭いたものが2004年の11月には2065頭に激減しているというものでした。
 およそ10年くらい前、レトリーバーブームがあり現在でも月刊誌が発売され現在でもなかなかの人気です。そのちょっとまえだと思うのですがシベリアンハスキーのブームもあったでしょうか?けれどもハスキーに関しては山林に放され野犬化して何頭も保護されたという記事を目にしたことがあります。そして現在はテレビCMの効果のためかチワワ・ダックスの人気はまだまだ続きそうです。

 何にでも流行というものがあります。流行りのものを欲しいというのは誰もが持っている欲求だと思います。けれどもその流行の影で、今回の秋田犬のように減少の危機に瀕している犬種もあれば、売れるということで安易に繁殖され、先天的な異常があることを知っていながら売買(必ずしもそうではないが)されている犬種もあります。
 ブームに踊らされず本当に好きな(欲しい)犬種を見つけてください。ブームの被害者は他でもないペットなのですから。

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2005年01月24日

ワクチンとアジュバント

 犬猫のワクチンには1つの病気にのみ効果がある単身のワクチンと、複数の病気に効果のある混合ワクチンとがあります。ワクチンを接種した際に病院の先生から“何らかの症状がでた場合は連絡してくださいね!”といわれたことがあるかと思いますが、ワクチンには少なからず副反応というものがあります。一般的によく観察される副反応には、顔面の浮腫、嘔吐、掻痒、下痢が挙げられ、もちろんその際には元気もないでしょう。この副反応を起こしてしまう物質として考えられているのがアジュバントと呼ばれるものです。

 アジュバントとは、ワクチンや免疫療法に用いられる薬剤の効果を高める助剤または免疫強化剤(調整剤)であります。このアジュバントが副反応の原因といわれ、現在ではアジュバントなしのワクチンが製造されてきています。けれどもそんなワクチンを接種しても副反応が起こるのはワクチン中に含まれる何らかのタンパクが原因だと考えられ、それぞれのメーカーは副反応が少なくなるよう日々研究されています。“より安全なワクチンを目指して”そんなバックアップがあってこそ私たち獣医師が安心してワクチンを飼い主さんにお勧めできているんですね!

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2005年01月23日

加害者にならないために・・・

 狂犬病にしても犬猫それぞれのワクチンにしても、接種するということは自分のペットを病気から守るということだけではなく、他人に伝染さないためであるという意識を持たれていますか?ウイルス性の病気というものは唾液や尿、くしゃみなどをしたときに飛沫する分泌液中に多量に含まれています。散歩中、何の気なしにおしっこをさせてしまいますがもしウイルスをもっている子だったら病気をばらまいていることになります。猫にはエイズという病気があります。これはワクチンでは予防できないものですが、もし病気と分かっていながら外に出すということは考えられないことではないでしょうか?
 フィラリア予防に関してもおなじことです。“去年飲ませなくても病気にかからなかったから”ということを聞きますが、未だに宇都宮市内でもフィラリアで亡くなる子がいるのが現状です。あまりしつこいアピールをするのもなんなのですが、身勝手な飼い方は他人に迷惑をかけます。“うちの子に限って”という考え方が一番危険だということを認識してください。地震と一緒で病気はいつ身に降りかかってくるかわからないのですから・・・。

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2005年01月21日

誤った認識

 “成長期には骨のためにカルシウムを食餌に添加しなければならない!”といったことを耳にしませんか?現在のようにペットフードが無かった昔、栄養の偏った食餌によりカルシウム不足により引き起こされる病気になっていた犬猫もいたようです。ペットフード文化が良くなった現在では、カルシウム不足というよりも過剰によって引き起こされる病気を目にします。
 

 カルシウムの過剰な摂取は高カルシウム血症を起こし、低リン血症→高カルシトニン血症を起こしていきます。高カルシトニン血症は、骨の吸収・軟骨の成熟・骨の成熟などの骨再構築(リモデリング)を遅らせてしまいます。このことにより骨軟骨症・離断性骨軟骨症・股関節異形成などの重大な骨疾患を起こしてしまうのです。あなたはペットの食餌にカルシウムを添加していませんか?良かれと思っていることが大変な病気を引き起こしてしまうかもしれませんよ!(注・記載した骨の病気の全てが、カルシウム過剰によって起こっているわけではありません)

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2005年01月18日

甲状腺の機能検査

 甲状腺の機能の異常は特異的な症状が少ないために、他の病気に影を潜めてしまい診断が曖昧になってしまいます。現症状のおおもとが甲状腺機能の異常かどうかを調べるのには、甲状腺ホルモン(T4;サイロキシン、T3;トリヨードサイロキシン)を測定することが正確な診断を下すためには必要な検査となります。
 その前に甲状腺って何をしているところなの?と思われている方も多いかと思いますのでその作用についてEntryしたいと思います。

まず甲状腺というものは前述したようなホルモンを分泌する分泌腺です。そしてそこから分泌される甲状腺ホルモンは基礎代謝を亢進したり、発育・成長を増進させたり、精神機能を刺激したりします(専門的にはもっと細かい機能がありますが難しい話になるのでこのへんで・・・)。 より正確な診断を下すためには、T3・T4を測定することもさることながら、さらにFT3(遊離トリヨードサイロキシン)・FT4(遊離サイロキシン)を測定することも必要となります。院内でできない血液検査のため外部の専門機関によって測定してもらうものですが、驚くほど高価な検査ではありません(もちろん4項目全てを測定すればそこそこいきますが・・・)。測定するにあたっては病院の先生とよく相談の上、必要な検査を受けてみて下さい。

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2005年01月16日

自分に置き換えて考えると・・・

 急性の下痢の原因にはいろいろなものがありますが、主なものとしては特定の食べ物に対しての胃や腸の不耐性やアレルギー反応です。アレルギーというとイメージとしては痒くなったりブツブツができたりといったイメージがありますが、特定の食べ物に対して胃や腸が排除しようとする反応はアレルギーといって良いでしょう。
  さて、飼い主の皆さんは吐き気がしたりピーピーの下痢をしているとき食事をしますか?水分の補給はするにしても、いつも通りの食事さらには脂っこいものは控えますよね。犬猫でも一緒です。下痢をしているときは水分補給はしなければなりませんが、いつも通りのフードを与えてしまっては休もうとしている胃腸を働かせてしまうことになります。嘔吐や下痢を食べさせながら治そうということは非常に難しいことなのです。個体差はありますが、下痢をしているならオーソドックスではありますがまずは食事を抜いて様子を見ることも大切ですよ。

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2005年01月14日

手術マージン良好・・・

preope 10歳のゴールデンレトリーバが耳の入り口に写真のような腫瘍ができたとのことで来院されました。見るからに悪そうな腫瘍のため、消毒処置中に採取できた腫瘍の一部を病理検査に送ってみました。結果は“悪性黒色腫”、メラノーマといわれているものです。(正式には良性の黒色腫をメラノサイトーマ、悪性のものをマリグナントメラノーマといいます)
 結果を飼い主さんに報告するとともに、先輩・後輩で麻布大学腫瘍科をでられた先生にアドバイスを求めると一様に“積極的な外科的切除”でした。

postope 飼い主さんとの相談の上、耳道切除手術を行うことになりました。腫瘍が思っていたより耳道内を占拠していたため、鼓膜のちょっと手前の水平耳道まで切除する手術になってしまいましたがこのゴールデンは手術に耐えてくれました。現在は抜糸も済み、術後1カ月になりますが一般状態も良好です。
 病気が良くなるというのは、飼い主さんの治療にかける情熱・治療を受ける動物の回復能力・そして獣医師による後押し(治療法の選択)ではないでしょうか?病気が病気のうえ、このゴールデンはまだ油断することはできません。これからも飼い主さんと2人3脚で治療に挑んでいければと思っています。

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2005年01月12日

一生の財産!

 昨日は横浜にてみなとよこはま動物病院(旧・永岡犬猫病院)OBによる新年会がありました。まだまだ開業して3年とちょっとの私には、いらっしゃっている先生方は大先生ばかりで毎年緊張する集まりでもあります。勤務していた病院の人間、それも年代を問わずに必ず新年には顔を合わせ、近況や新たな情報の交換場所として集まれるような病院に勤務できたことは何よりの財産だということを噛み締めました。同期の先生の近況もさることながら、全く衰えを知らない永岡先生のパワーにも圧倒されてしまいました。今年もより良い医療・技術を提供できるよう頑張らねばと思うひとときでした。

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2005年01月10日

本日は成人の日

 犬猫の生物学的速度(簡単に言うと年を取っていく早さ)については以前にもEntryしていますが、人でいう20歳というのは犬ではおよそ生後1年半、猫ではちょうど1年位といわれています。それ以降は1年ごとに4歳ずつとしをとっていくということから考えると、犬猫ってホント年を取るのが早いですよね。成人式を迎えると一人前として扱われますが、犬猫ではなかなかそうはいけません。けれどもそのころには比較的行動も落ち着いてきたようには見えませんか?誕生日を祝ってあげる飼い主さんは多いかと思いますが、今年成人になる犬猫を飼われている飼い主さん、一生に1回の成人式ちょっとお祝いしてあげてはどうでしょうか?もしかしたら行動がちょっと変わるかも知れませんよ!

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2005年01月09日

無事に里帰り!

 昨年の11月に椎間板ヘルニアの手術をしたダックスが来院されました。リハビリの経過も良好で、ベットの上から飛び降りることができるまでに回復、実家である横浜に帰る前に顔を見せてくれたというわけです。今までは脊椎疾患というものは内科治療と理学療法を中心に治療してきましたが、手術によってここまで回復するということを目の当たりにすると手術は積極的に薦めるべきものだという意識を持ちました。もちろん全てを手術すべきとはいえませんが、状態と時期を見極めることで良い結果が望めるものだということを身をもって感じることができました。もちろん手術が全てではありません。懸命な飼い主さんのリハビリがあったからこその結果だと思います。横浜に帰ってもまた腰を痛めないでほしいものです。

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2005年01月07日

ネズミの害!

 先日のニュースで放送していたのですが、リフォームしたばかりの家やマンションなどでネズミが食べ物を食い荒らしたり電気コードを食いちぎったりする被害に遭っているという特集が組まれていました。その特集内では、夜中にネズミが駆け回る足音に悩まされている人や、食いちぎった電気コードからの出火の危険性についてが取り上げられていましたが、獣医師としては伝染病の心配をしてしまいます。ご存じの方も多いかと思いますが“レプトスピラ症”です。
 レプトスピラ症の原因菌はネズミの尿中に含まれ、皮膚にある傷や健康な粘膜から体内へと侵入します。ワクチン接種によって抗体を持っていれば大事には至りませんが、抗体がなく治療もされなかった場合は慢性の肝炎あるいは腎炎に移行してしまいます。ネズミといったら少々田舎のモノといったイメージですが、このようなことが都内で起きているということですから宇都宮も安心はできません。やはりワクチン接種によって抗体をもっていることは大切ですね!

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2005年01月05日

ヘルニアあれこれ

 昔からヘルニアのことを“脱腸”といいましたが、そのヘルニアの出っ張りの中身は必ずしも腸ではないことをご存じですか?お腹の中にあり腸を取り囲む脂肪であったり、はたまた膀胱であったり、実際手術してみてビックリすることもあります。ヘルニアにはおへその所にできる臍ヘルニア、足の付け根(鼠径部)にできる鼠径ヘルニア、肛門周囲にできる会陰ヘルニア(この表現には問題があるが・・・)があります。
 今日は鼠径ヘルニアの手術がありました。このヘルニアは特に雌犬に多く、成長段階で鼠径輪というヘルニアの根本にあたる穴(ヘルニア孔)のふさがりが悪いことで起こっています。幸いヘルニアの内容は腸ではなく雌犬特有の鞘状突起が主なものであったので大事には至りませんでした。ヘルニアも放置し過ぎると大変なことになります。おかしいなと思ったら診察を受けてみてくださいね。

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2005年01月04日

意識改革!

 あけましておめでとうございます。みなさんいかがお過ごしでしたか?早速ですが今年の課題は“意識改革”の年にしたいと思います。これは飼い主さんに対しての啓蒙活動であったり、私自身の思考の再構築であったり・・・。なかなか大きなテーマになりそうですが一歩一歩進んでいければと思っています。
 とりあえず身近なところで病気の早期発見〜治療を心懸けるというところでしょうか?これは飼い主さんに対してもちょっとした変化を見逃さないようにアドバイスしていくことであったり、病院としては5歳を過ぎたペットに対しての健康診断(もちろん検査には費用がかかりますが、必要な検査を適正な価格で!)を積極的に勧めていったり、予防医療に対しての意識をもっと持ってもらえるようになど、病気になってからの病院という意識ではなく病気にならないようにするための病院になっていければと思っています。それでは今年もよろしくお願いします。

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2005年01月01日

あけましておめでとうございます。

 本年も面白く役立つ情報が提供できるよう頑張らせて頂きますのでよろしくお願いします。

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