本日のニュースでも取り上げられていたのですが、“ハムスターに咬まれてショック死”という記事がありました。運ばれた病院の先生によるとハムスターの唾液が傷口から体内に侵入したことが原因でないかとのこと。飼い主さんとしても診察する側の獣医師としてもちょっと怖い内容でしたが、さてこのアナフィラキシーとはなんのことなのでしょう。
体には細菌や違った動物の血液や蛋白質などの抗原の侵入から体を守るために抗体という物質が作られます。この抗体によって抗原は無毒化(これを抗原抗体反応といいます)されるのですが、再び抗原が体内にはいることで体は特異な反応を起こします。この反応のことを一般的にアレルギーというのですが、激しいアレルギーのため呼吸困難や血圧の低下を起こしてしまう、これがアナフィラキシーショックというものなのです。今回の事故もただ咬まれたから起こったわけではありません。決して咬まれたからといってパニックにはならないでくださいね。
ここのところ頻尿気味だったシーズーのナナちゃん。尿検査では膀胱炎の所見がみられたので、抗生物質と消炎剤、尿が出やすくする漢方薬を処方してみたのですが1週間後の検診で症状の改善があまり診られないので“まさか?”と思いレントゲン検査をしてみるとありました結石が!しかも小さいものが多数。これでは膀胱炎も良くならないし、尿が出にくいのも当たり前でした。早速、明日開腹手術にて結石を取り出す予定です。
獣医医療はどうしても治療が後手に回りがちですが、今回は私があまりつっこんだ診察(今回はレントゲン撮影)をしなかったために1週間ナナちゃんに辛い思いをさせてしまいました。検査というものはあまりやりすぎると患者さんに大きな負担をかけてしまいますが、やはり疑わしい場合にはご理解してもらった上でしっかり精査すべきですね。自戒
動物愛護週間です。そんなことを思いながら本日の地元紙記事にこの記事を見かけました。“1日13頭”皆さんは何かおわかりになりますか?この数字、私の地元の動物保護施設で行く先のないイヌが処分されている数字なのです。保護されたイヌのほとんどがすでに放置されていたり、引っ越しする関係で施設に預けられたもののようです。ペットを飼う時には楽しいことばかりが目に浮かびますが、思った以上に大きくなり世話が出来なくなったり、引っ越し先の住居条件で飼うことが出来ないとから今まで時間をともにしてきたペットを放置していくというのはあまりにも身勝手過ぎはしないだろうか?
動物愛護週間にはそれぞれの地方で何らかの催しがあるかと思います。けれどもそんな影で飼い主さんに見放され処分されている犬猫がいることを忘れないでください。そして新たにペットを飼ってみようかと思っている方、最後まで本当に面倒をみることができるかよく考えてくださいね。
どんな病気でもかからないで済むならばそれが一番良いことなのです。1つの病気でも患えば憂鬱なのですが、同時に2つの病気それも片方の病気を治療するために必要な薬がもう一方の病気を悪化させてしまう可能性がある病気だったら?飼い主さんも困惑してしまうでしょうが私たち獣医師も頭を抱えてしまいます。このような場合は命に関わる方の病気の治療を優先すべきなのでしょうが、もう一方の病気の苦しみもとても耐え難いものだとしたら・・・。
獣医師としての決断が必ずしも飼い主さんにとって喜びや満足を与えているとは限らないと思います。“この子がどうしてもらいたいか?”それが解るのは飼い主さんですよ!皆さん後悔の無い選択をしてあげてください。
当院は列をなすような病院ではないので患者さんをお待たせするようなことはなく、次に患者さんがお待ちでないときは患者さんと病気の話を含めいろいろなお話しが出来ます。患者さんがたくさんいらっしゃっていただければ商売上は非常にうれしいことなのですが、飼い主さんとのコミュニケーションはどうかというとおろそかになってしまうことは避けられないでしょう。このホームページでもいらっしゃる患者さんでも納得していただけるようにお話しをし、疑問があれば何度でも聞いていただけるような雰囲気作りをしているつもりです。
良く患者さんから耳にすることは“こんなこと聞いて良いのだろうか?”ということです。口が聞くことのできない可愛いペットのことですし、高い料金を払って頂いているのです、個人的には私たち獣医側には充分に説明する義務があると思っています。どんどん聞いてください。そして納得してください。そこからお互いの関係が成立してゆくのではないかと思っていますから。
病気がなかなか治らなかったり、先生の治療法に疑問を感じたりすることで病院を変えられる飼い主さんもいらっしゃるかと思います。その時に一番問題となるのがこれまでの病歴と現在飲んでいるお薬に関してではないでしょうか?しっかり説明を受けていたにしてもとっさにどんな薬を飲んでいたかと言われると答えられないことが多いでしょう。そんな時は今飲んでいる薬をそのまま持ってきていただければある程度調べることが可能です。
どうして今日はこのようなことをEntryしたかというと、ご存じかとは思いますが薬には飲み合わせというものがあります。この飲み合わせを間違えると取り返しのつかないことが起きることもあるからです。さらには症状が同じだからといって、以前処方してもらってまだ残っている薬を飲ませてしまうと言ったことも非常に危険です。飼い主さん側からこの薬は何ですか?と聞かれて教えてくれない先生はいないと思います。あなたの大切なペットが飲む薬です。できるだけ把握しておくのが良いでしょう。
たまに飼い主さんから耳にする言葉なのですが、検査をするための採血や診断をより正確にするための麻酔について提案した際に“痛そうだし、可愛そうだからやめておきます。”ということを言われることがあります。ちょっとこちらとしては参ってしまうこともあるのですが、無理強いは出来ないのでとりあえずの処置をとらせてもらいます。けれどもこの時点で病気がはっきりするのと、病気が進んでしまってから処置をするのとではどちらの方がよいでしょう?
私たちがしきりに検査を進めると、飼い主さんは“お金儲けのため?”と思われる方もいるでしょう。けれども検査を勧めるにはそれなりの訳があってのことなんです。確かに採血したりするのには少々の痛みが伴います。けれどもこの検査により少しでも病気の早期発見や確定診断を見いだすことができれば決して可愛そうなことではないと思うのですが、飼い主の皆さんはどのように思われますか?
急な腰抜けで治療していたミニチュアダックスの腰のレントゲン写真です。単純なレントゲン撮影では2番目と3番目の腰椎の椎間板に石灰化が診られていることは確認できていたのですが、果たしてこの部分が原因で腰抜けになってしまったのかどうか確認するため造影を行ってみました。やはり石灰化した部分が脊髄神経を圧迫していたようで、飼い主さんの了解も得られていたのでそのまま脊髄の減圧手術をさせていただきました。術後の経過はどうなっていくかわかりませんが、圧迫をとることで少しでも楽になってくれれば手術をした者としてもうれしい限りです。
とは言っても、永岡勝好先生曰く“手術は2〜3割、あとの残りは術後の管理とリハビリにある!”明日からさらに頑張って、良い結果が得られるよう治療していこう。
飼い主さんの間では、獣医さんのレベルの違いは良く話題に上がるかと思います。同じように獣医同士でも飼い主さんのレベル(というか考え方)の話がでることがあります。非常にいい種類なのにワクチンを全くうたない、体中ノミだらけにしたまま放置されている猫、フィラリア症にもかかわらず何の治療もしてもらえない雑種など、本当に動物好きな方にはとても考えられないような飼い主さんもいらっしゃるのです。対照的にいろいろな予防はもとより、日常の食生活にまで非常に気をつかわれている飼い主さんもいらっしゃいます。実際、東京方面からこちらに引っ越されてきた飼い主さんからもこちらのペット事情(病院も飼い主さんのことも含めて)が大分レベル違うということを聞いたことがあります。
このようにレベルが違ってしまうのは病院からのワクチンや予防医療についての啓蒙が行き届いてないからなのでしょうか?私たち獣医師は設備や技術を向上させることも大切ですが、ペットを飼われている方に対してのさらなる意識向上のためにできることをもっとしていかなければなりませんね!(どんなことをすべきか、あるいはしてほしいか、などご意見いただければ幸いです。)
10歳の猫が急に口が閉じられなくなったとのことで来院されました。確かにひどい口臭で“ああ、口内炎か。”と思って口を開けてみたところ上顎の犬歯が左右バランスが非常に悪い!鉗子でつまんでみると今にも抜けそうなくらいグラグラで、ほとんど力を入れなくても抜けてしまいました。写真でもわかるように黒っぽくなっているところは歯周病が起こったせいで歯根の膜が腐ってしまったような状態になっています。歯を抜いたあとはさっぱりしたのかしっかり口も閉じられるようになりました。やはりお口の中の健康管理も大切ですね。
8月1日よりお預かりしていたアイリッシュセッターのケディー君、オーナーさんの怪我の治療も一段落し先日お迎えとなりました。ケディー君は数年前左足を粉砕骨折してしまい当院で手術をしたのですが、オーナーさんは反対足の膝を怪我してしまいました。不思議なもので私の知っている限り飼い主さんとそのペットは同じようなところを患っていることが多いようです。
お迎えの際に飼い主さんと一緒にいるケディー君は見違えるように元気そうでした。入院疲れは無いと思いますがおうちでゆっくりしてくださいね。
交通事故で右後肢の皮膚と足先、さらには左前肢の皮膚と足先を失ってしまった猫の皮膚移植手術が無事終了しました。来院した際はこのまま足が腐って落ちてしまうのではないかといった状態でしたが、足先の一部は失ってしまったものの今では元気に散歩ができるくらいまで回復しました。
毎回思うことですが、生命力というものは計り知れないものを感じます。どう見ても厳しいと思っていた子が目を見張るような回復力を見せてくれたり、元気だった子が急に弱ってしまうことも少なくありません。厳しいと思っても何とかしてあげたいという気持ちが伝わるのかもしれません。私たち獣医師ははそのような努力する気持ちを忘れてはいけませんね。
骨折はできれば避けたいことですが、万が一起こってしまったなら外科的に治療(内固定法)したり副木によって固定(外固定法)する方法があります。麻酔がかけられないような幼いときや、骨折している骨の変位が少ないときには外固定法でも治すことが可能でしょう。骨折による骨の変位が著しく、さらには骨折片が複数ある場合は適切な内固定法で治療することが望ましいでしょう。手術の方法は様々な方法がありそこに使用する器具は非常にたくさんあります。
さて骨折手術後は安静がもちろん大切なのですが、あまり大事にしすぎることで骨折部位の治癒が遅れてしまうことがあります。骨は使うことで伝わる微細な振動によって成長や治癒が促進されます。けれども不適切にギブスを巻きすぎたり、運動を制限することでこの振動が起こらず通常骨折が治る期間より時間がかかってしまうのです。骨折はその状態により適切な方法で処置しなければなりません。難しいですよね!
全てのことが当てはまるとは限りませんがヒトと同じで犬猫にも生活習慣病があります。糖尿病であったり心臓病であったりその病気は様々ですが、その根底には肥満が存在しているのではないでしょうか。全てが肥満に続発する病気ばかりではありませんが自分が今まで経験する限り、若くして糖尿病や心臓病さらには高脂血症を患っている子はほとんどの子がやや肥満〜肥満体型でした。食生活を聞いてみると、ほとんどの飼い主さんが少しでも食べが悪いと手を変え品を変え食事を与えていること、置き餌をしていること、そして間食が多いことでした。
自分が太ってしまうことは気にしますが、飼っているペットは何となくふっくらして可愛いからといった理由で太らせてしまう方も少なくありません。若いうちは何とかなります。けれども寿命が延びている今日この頃、ペット達の老後も考えてあげてくださいね。