昨日は休みを利用してドッグショーに行って来ました。会場では参加している患者さんや見学にきている患者さんにも会うことができました。常に病気をとおして犬を見ている自分にとっては、たまにこのような形で犬を見ることはなかなか楽しいものでした。犬猫に関わる仕事としてや、はりいろいろな種類やどんな感じの犬がチャンピオンに選ばれるのかなど勉強になることも多いものです。皆さんもお近くでドッグショーが開催されるときは、ちょっとのぞきに行ってみるといいですよ!
皆さん、フィラリア予防薬投与前に検査は受けてますか?フィラリア予防薬に添付されている説明書にも注意書きとして“ミクロフィラリアがいないことを確認の上投与すること!”とあります。感染していた場合でもミクロフィラリアを検出できない期間もあり、検査が陰性であっても100%安心!と言うわけではありません。またフィラリアの薬は月に1回と言うことでお忘れになる方もいらっしゃいます。昨年ちょっと飲ませるのを忘れてしまった方はフィラリア検査を必ずお受けになることをお勧めします。
昨年、当院でもフィラリアの薬を飲ませたら急に調子が悪くなったという患者さんが来院されました。検査せずに去年の残りの薬の投与をしてしまったようで大事には至りませんでしたが、これはただラッキーだったの1言では済まされないことです。決してフィラリア検査は、病院がお金を儲けるためにやっているものではないことをご理解ください。
だんだん暑くなるとノミやダニの活動も活発になってきます。ノミダニの駆除薬は1世代前まではノミ取り首輪といったものが主体でしたが、最近は犬猫の体に滴下することで予防することができるものが主流になってきました。ホームセンターやペットショップで購入できるものは、動物用医薬品ではなく強い効果はあまり望めません。それと比較すると動物病院で扱っているものは動物用医薬品であり、的確にノミダニを駆除する効果があります。ここで注意しなければならないのは駆除薬を付けているからと言って絶対にノミダニがつかなくなるかどうかということです。
メーカー側からのコメントでは“ノミダニを駆除するもので、全く寄せ付けなくする効果があるわけではない。”とのことでした。この駆除というのは吸血することで薬がノミダニの体に取り込まれ死滅させるということなのです。ですからあくまでノミダニの寄生率を軽減させるものであり、全く体に寄生しなくなるというものではないのです。このような外用薬は安全に使用できる範囲での薬用量というものがあるので、どうしても寄生してしまうことがあるようです。使用されている飼い主の皆さん、ご理解いただけたでしょうか?
医療現場を取り上げたドラマなどで“私に任せておけば大丈夫!”なんてセリフがありますよね。実際、命を扱っている以上軽率なことは言えません。ちょっとしたイボかと思い手術したら悪性の腫瘍であったり、ただの嘔吐かと思えば重大な内臓疾患だったりと症状は思わぬ結果を招くことがあるからです。いくら万全な体勢で望んだ手術でも、麻酔をかけての手術は危険と背中合わせなわけです。経験上大丈夫とは思っていても“任せておいてください。絶対大丈夫ですよ”なんて言葉は後々トラブルのもとになる言葉なんですね。
患者さんとしてはこのような言葉を掛けてもらえれば心強いかもしれません。ですが結果が悪かったときにはその落胆は倍以上のものとなるでしょう。獣医師は言葉を慎重に選びながらお話しをしなければならないと思います。ハッタリなんてかませるもんじゃないんですね!
皆さんは自分のペットが入院した場合、面会したい派ですか?それともしたくない派ですか?整形外科手術をうけた後で安静が必要な場合や、飼い主さんの顔を見ると異常に興奮してしまうようなことがない、限り当院ではなるべく飼い主さんに面会していただいてます。もちろん飼い主さんが希望されない場合は無理にはお勧めしませんが、何かと不安な入院生活をしているペットにとって飼い主さんの顔が見られることは、どんな注射や点滴よりも治療効果があるような気がします。今まで面会に行ったことがない方も、是非一度面会に行って元気づけてあげてはいかがでしょう。きっと喜びますよ!
※お知らせにもありますが、明日24日は友人結婚式のため私は診療をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。
室内犬、さらにはフローリングのお宅が増えてますが皆さんパッドの毛は定期的にカットしてあげていますか?フローリングの問題は良く取り上げられますがパッドのケアーをお忘れになっている方が意外と多いようです。パッドの毛は滑りやすいフローリングをさらに滑りやすくしてしまいます。フローリングで滑ることは膝蓋骨脱臼や靱帯の無理な伸展、脊椎(特に腰骨)の病気を助長することがあります。少しでも滑らないような工夫をすることは病気の発症を防止することができますよ!
これが何だかおわかりになりますか?雄犬の象徴的なもの、そう精巣なんです。(先端の1㎝の楕円形の部分:ちなみに18㎏のワンちゃんです)とは言っても正常なものではなく陰嚢(精巣が収まるべき袋)にたどり着けなかったものなのです。10日ほど前に手術させてもらったワンちゃんのものなのですが本日無事に抜糸も済みました。一般の去勢手術と違い、陰睾丸の手術は精巣は発達が悪いため時として見つけるのが非常に大変です。これとは反対に精巣がお腹のなかで腫瘍のように大きくなってしまうものもあります。雄犬を飼われている飼い主の皆さん、あなたのワンちゃんは陰嚢の中にちゃんと2つの精巣がありますか?もし見あたらないようならおかかりの先生に相談してみてくださいね。
私は押しつけがましいことを言うのが大嫌いである。患者さんが知らないであろう(解らないであろう)ことをいいことに“絶対こうしなければダメです”とか“今すぐ〜しないと死んじゃいますよ”と脅迫めいた言葉でそうせざるをえないようにし向ける診療などもってのほかだと思う。ただでさえ患者さんは、自分のせいで飼っているペットが病気や怪我をしたと思いながら来院しているであろう。そんな時にさらに追い打ちを駆けるようなことを言って何が楽しいのだろう。もちろん治療法に選択の余地がない場合、厳しいことを言わなければならないときもあるだろう。いくら地位や名誉や財力を築けたとしてもこんな獣医師にはなりたくないものだ。
今日、みなとよこはま動物病院の後輩が当院を訪れてくれました。彼は今年の3月で横浜での勤務を終えたのだが、今は週3日間横浜で勤務しながら来年地元の水戸市での開業を目指しています。彼は自分と同じような環境(お父さんが獣医師)で、彼が来年開業するにあたり今の病院を改築する、その相談のためわざわざ水戸から宇都宮まで足を運んでくれました。今の自分がやっていけているのはもちろん父のおかげではあるが、いろいろと相談にのってくれたりアドバイスしてくれたみなとよこはま動物病院の先輩方のおかげでもあります。やっと自分も後輩のために少しは役に立てるようになったみたいです。少しでも良いアドバイスをしてあげたいものです。
太っていると見た目は何となく可愛い感じがしますが、決して体にとっては良い影響は与えていません。ヒトのダイエットとは違い、ジムに通ったり効果のあるダイエットサプリメントがあるわけではないので、犬猫のダイエットは食餌でしかコントロールすることができません。けれども食餌をダイエットフードに代える前にまずおやつをやめることは大切です。(特にジャーキー系のおやつ)それだけでも体重は落ちるものです。それでもダメなときこそフードを代えてください。なかなかダイエットがうまくいかない飼い主さんとよーく話してみるとフードは制限しているが、代わりにおやつを与えていることが多いのです。
可愛いペットのダイエットは、もしかすると自分がダイエットすることよりも大変かも知れません。ウルウル見つめられても負けてはいけませんよ!
病気の診断がつき入院しなくても治療が可能な場合、ほとんどの病院がお薬を処方します。下痢ならば下痢止め、肝臓の機能に問題があれば肝機能代謝賦活薬、心臓の機能に問題があれば心機能改善薬と、症状に見合ったものを処方します。症状によっては一時期だけ飲めばよいものから、症状を発症した時点から一生飲まなければならないものもあります。それは良く飼い主さんに理解していただけるようお話ししなければならないことでしょう。
ところが最近転院されてきた患者さんが、“今、この薬を処方されてます。”と持ってきた薬を見て正直ビックリしました。病気の診断もはっきりしない上、処方された薬を見ると抗生物質とステロイド剤。別にほかの病院の悪口を言うつもりはないが、これだけ情報が氾濫している現在、こんなことをしていては獣医療がいつまで経ってもレベルが低いと馬鹿にされてしまうだろう。そんなにしてまで薬を処方しなくても良いのではないか!診療費を高く請求するための処方などあってはならないことだ!
一昔前までは、“犬のお産は安産”と思われていました。ですから犬の帝王切開なんていうと驚かれる方がいるくらいですが、これだけ犬の種類が増えると安産できる犬種ばかりではないのです。さらには小さい雌犬に大きな雄犬を交配させれば大きな胎児に育つ可能性は充分あり、今まで自然分娩できた子でも難産になってしまうかも知れません。
そこで飼い主さんに知っておいて欲しいことを伝えたいと思います。まず交配してしまった可能性があったら、交配後35日過ぎに動物病院で超音波の検査をしてみてください。もし新しい命を授かっていたのなら次はレントゲンです。交配後45日を過ぎるとレントゲンはお腹の中に何匹入っているのか?自然に産めるのか?ということがわかります。帝王切開の可能性があったなら、おかかりの獣医さんと連絡を密に取れるようにしておきましょう。お産を焦らず迎えるコツですよ!
手術をするとき、ほとんどの先生が術前検査と言うことで検査をされると思います。飼い主さんからすると“ほんとに必要なの?”とか“手術だけで良いのに!”と思われているかも知れません。健康体で血液検査で異常が無くても麻酔をかけるということは心臓の動きをゆっくりさせるということです。そうすると体内臓器への血液の循環量にも影響が出ます。特に腎臓の機能は循環血液量に大きく左右されます。術前に異常が無くても術後には異常を示していることも珍しいことではありません。これが老齢の動物では起きやすい状態になっているので、手術を含んだ麻酔下の処置ではいつこのような状態が起ってもおかしくないのです。元気で問題が無さそうに見えても、予備能ぎりぎりで生活しているという可能性をふまえて麻酔などはかけなければいけないのです。どうか検査にご理解を!
かねてから“早く使えるようにしなければ”と思っていた人工呼吸器に麻酔回路をセットアップすることができました。私が永岡犬猫病院(現・みなとよこはま動物病院)を辞めるときに永岡勝好先生から頂いた‘bird MARK10’でしたが、忙しかったり、必要に迫られなかったりということで手術室の片隅で眠っていたのですが、この度、地元の業者さんの協力により再び人工呼吸器付き麻酔機として使用できるようになりました。これで呼吸が停止した場合にも安心して手術を進行することができます。これで可能な手術の幅も広げることができます。さあ、さらに頑張らねば!
先週、避妊手術をしたアメショーの飼い主さんが“耳の中から黒いものが出てくるんです。”とのことで耳をめくってみると確かに真っ黒。綿棒でちょっとすくってみて顕微鏡で見てみるとそこにはもぞもぞうごめく物体が・・・。猫を飼われている方ならばご存じと思いますが“耳ヒゼンダニ”で、そのため外耳炎を起こしはじめていたのでした。同居している猫にも同じような状態でしたので一緒に治療開始することに。飼い主さんにも顕微鏡を覗いてもらったのですが、もぞもぞ動いているダニを見るのは本当に久しぶりでした。猫の外耳炎のほぼ50%はダニが関係していると言われています。早く良くなるようがんばっていきましょうね!
病気とか治療とか全く獣医療とは関係の無い話なのですが、あまりのマナーの悪さに思わず自分のホームページを使わせていただきます。(ほんとは良くないことなのですが・・・)当院は八幡山公園入り口にあり、この時期は公園の桜が見頃となりお花見の方がたくさんいらっしゃいます。お花見で飲み食いすればもちろんゴミが出ます。公園側としてはゴミは持ち帰ってもらうようにしているようなのですが、どうしても持ち帰えるのが面倒なのでしょう。そのゴミを近所の町内のゴミステーションに放置していくのです。(それも無分別状態で!)当院のすぐ横にもゴミステーションがあるのですが、たままま捨てた人を見かけたので“捨てないでください!”と注意すると“何が悪い”と逆切れされる始末。去年はこんなことはなかったのに今年はどうしてこんなにマナーが悪いのだろう。悲しいというか虚しい限りです。
※いつもご覧いていただいている方々、個人的なEntryで申し訳ありません。
飼い主の皆さんにとって獣医さんってどんな役割をしていますか?“ペットの健康管理をしてくれる”とか“病気を治してくれる”など人それぞれ異なってきますよね。けれども本当に病気に付き合って、治すことができるのは飼い主さんだと思います。これは決して飼い主さんに責任を転嫁しているのではありません。院内でのことは獣医の目は届きますが、退院してからの自宅での管理(例えば、お薬を飲ませたり、運動制限したり)はやはり飼い主さんがある程度、指示通りにして頂けなければ治癒にも時間がかかったりひどくしてしまう可能性があります。
私が思っている獣医としての役割は、少しでも早く速やかに治癒できるようなアドバイスしてあげることだと思っています。決して注射や薬だけが病気を治してくれるものばかりだとは思っていません。ほんとに病気を治すことができるのは、飼い主さんの情熱なんじゃないかな?なんて思っています。
何らかのケガをして出血することは仕方のないことです。ところがケガもしていないのに急に出血があったら・・・、ちょっと想像すると怖いことですよね。けれども犬猫の病気も多様化している今、決して他人事ではないかも知れません。健康な様態では出血が起こった場合、血小板の働きにより血液を固め止血しようとする働きが見られます。ところが遺伝的に問題があったり、免疫的な異常があったり、血液を生産している臓器に何らかの異常を来すことで血液が止まりにくく、ちょっとしたことで出血が見られたり、皮膚に紫斑(青あざ)が見られやすくなります。(犬種によっても遺伝的に血液の病気を持っている子がいます)ちょっとお腹あたりの皮膚を見てみてください。青あざなんてありませんよね!
実はこれから、犬の“前十字靱帯断裂”の整復手術の依頼がったため出掛けることになっているのですが、別に競技をやっている犬ではなく、ただ太っている犬のようです。よくスポーツ選手が競技中に靱帯を損傷したという記事は見たことありますが、太ったヒトが靱帯を損傷したという話はあまり聞いたことがありませんよね!やはり動物と人では靱帯が切れるまでの過程が違うのでしょう。しかし、この膝を安定化させる靱帯のなかでもっとも大切な“前十字靱帯”を切ってしまう犬のほとんどが太っています。やはり可愛いだけで太らせてしまうといろいろな問題が年齢とともに起こってきます。何度もEntry中に書いていますが“太りすぎには要注意!”です。
数学と一緒で答えは1つですが答えにたどり着く方法は何通りかの方法があります。治療も特定の病気を除いては何通りかの治療方法があります。けれどもその治療法は獣医側から示されなければ飼い主さんは獣医の言う通りにしなければなりませんよね。食餌などもおなじことで“この餌を食べなきゃだめです”と獣医さんに言われればペットを飼い始めるのが初めてな方では買っていってしまうでしょう。“〜〜しなければダメ!”とか“この方法しかないからすぐ〜〜しなければダメです!”といった言葉に飼い主さんは選択を迫られる場面があることと思います。そんな時こそ“何か他に方法はありませんか”と聞いてみてください。そこでイヤな顔をする先生だったら私個人的な意見としてはやめておいた方が良いかと思います。治療についての選択肢を獣医は提示することはできますが、最後に大事なペットのことを決断するのは飼い主さんなのですから。
実際に動物の体に触れもしないで、血液検査のデータだけ読んで問題なければ“大丈夫ですね!”といった先生もいるようです。けれども飼い主さんは元気がないといっている以上、私たち獣医は何らかの原因を見つけなければいけないのではないでしょうか?かといって正常な状態でも若干数値に変動があるものをみて病気にしてしまってもいけないのですが・・・。様々な検査機器が発達し、今まで発見しにくかった病気を早期発見できるようになりましたが、やはり診察は実際に動物の体に触れて、心音を聞き,体温を測り,吐く息のにおいをかぐetc.などの五感を使った診察は、どんなに機器が進歩してもこれを凌ぐものはないでしょう。これからのシーズン少々忙しくなるとこういったことを忘れがちになってしまいます。“こういうときこそしっかりしなければならないな”ふと思う一日でした。