1月12日に生まれた5匹のダックスの赤ちゃんが、初めてのワクチン接種のために来院されました。体重もほとんどばらつきがなく成長しているようです。飼い主さんはこの子達の里親は探さず5匹ともすべて面倒を見ていくそうです。まだまだ大変な日が続くと思います。がんばってくださいね!
ヒトでも熱が高くなることはだるく非常に辛いものです。もちろんこれは犬猫でも同じことだろうと思うのですが、発熱は病気から体を守る防御反応としてプラスに働いていることもあります。例えば、発熱することで体内での白血球の働きを促進して細菌の増殖を抑えたり、ウイルスの感染を抑えるインターフェロンの働きを増強させることもあるようです。けれどもほとんどの場合、熱を下げることが治療の中心になりがちですが、発熱することのすべてが体にとって有害なことばかりではありません。何らかの病因があって発熱しているわけですから、解熱剤があるからといってやみくもにつかってしまうことは非常に危険です。一言、先生に相談してみてくださいね!
飼い主さんにとって可愛いペットが病気になってしまった場合、“どんな病名なんだろう?”“ちゃんと治る病気だろうか?”が1番気になるのではないでしょうか?獣医としても原因を発見し、病名をはっきりさせなければいけないのですが、命に関わる病気の場合は告知をするにあたって非常に気をつかいます。これはヒトの場合も一緒ですが、告知するのが本人かそうでないかという差が結構大きいんですよね。病名を知ったとたん自分のことのように倒れ込んでしまう飼い主さんもいれば、治療することを諦めてしまう飼い主さんもいらっしゃいます。
獣医師としては“今かかっている病気がどんなもので、完治するものか否か?”は必ず伝えなければいけないと思っています。飼い主の皆さんは病名の告知についてどのように思われていますか?
ここのところ1日1日の温度差が非常に激しいですよね。こんな時は人と一緒で犬猫も体調をこわしやすいんです。寒ければ寒い、暑ければ暑いで体はその変化に対応しようとしますが、対応しきれないと食欲不振を起こしひいては病気への引き金となってしまいます。特に8歳を過ぎている場合、対応能力も衰え始めています。寒い2月ももうすぐ終わりです。飼い主の皆さん、ペットのちょっとした変化をよく見てあげてくださいね。
※お知らせにもありますが、24〜26日まで私がお休みを頂くことになっています。Entryもお休みを頂くようになりますのでよろしくお願いします。
下痢と一緒で、ペットを飼い始めて必ず経験する症状として嘔吐(もどすこと)があります。幼い頃では一気にフードを詰め込みすぎて嘔吐したり、長毛の猫ではセルフグルーミングをすることで毛玉を吐いたりと比較的症状の軽い嘔吐もあれば、異物を摂取したことや内臓のダメージからくる症状の重い嘔吐があります。特に異物の摂取は命に関わることがあります。
散歩するときも飼い主さんは2〜3歩先をよく見て、彼らが興味を持ち口の中に入れそうなものがないか注意してあげてください。家の中でも飲み込みそうな可能性のあるものは置いておかないことをお勧めします。“まさか!”ということが起きる前に・・・。
あまり歯磨きをしない犬猫では、歯石がたまることは珍しいことではありません。歯石の確認をするために口の中を見たとき、歯肉に写真のような腫瘍ができていることがあります。歯肉に見られる腫瘍にはいろいろなものがありますが、なかには非常に悪性度の高いものもあります。もちろん診察や検査をしてみないとわかりませんが、もし歯肉に気になる出来物を発見したら早めに病院に行かれることをお薦めします。早期発見ならば手術もさほど大げさなものになりませんから。(ちなみに写真の症例は病理検査の結果、良性のものでした。)
今日のニュースで話題だったのが内視鏡手術だったのでちょっとEntryしてみようと思います。人医療では小さな傷で負担も少ないということで頻繁に行われている手術ですが、獣医医療でも大学病院レベルでは内視鏡手術が行われています。私も横浜で勤務しているときには数症例の手術に参加させていただきました。やはり内視鏡手術の利点は小さい傷で済むということが最大の利点ではないでしょうか。
様々な検査をしてもわからない場合“試験開腹”ということで手術をすることがありますが、内視鏡手術ならその何分の1の傷でお腹の中を観察することが出来ます。その段階で異常が発見できれば内視鏡手術に切り替えることも可能です。欠点としては、実際参加して思ったのですがやはり視野が限られているので非常に時間がかかるということです。けれどもこれは熟練度によって変わってくるものなのかもしれません。
内視鏡の技術が進めば、獣医医療でももっと内視鏡手術が取り入れられてくると思います。その時飼い主の皆さんは普通の手術と内視鏡手術のどちらを選ばれますか?
診察する上で1番大切なことではないでしょうか。何でも情報を提供することが大切な時代なので、血液検査やレントゲンを撮ることでデーターを得ることが出来ますが、こればかりに頼ってしまうのもどうかと思うのです。勤務医時代、後輩がろくに触診や聴診もしないうちに採血の準備をしていたことがありました。もちろん数多くの検査をすることで見落としや誤診をする可能性は低くなるでしょうが、来院されるたびに検査をされる動物や飼い主さんのことをどう思っているのでしょうか?
私の父の時代の獣医医療はもっと五感を生かした診察だったと思います。特に動物の体に触れるということは、被毛の状態や脱水、尿がどの位溜まっているか、脾臓が腫れていないかなどの数多くの情報が手のひらを介して得られます。もちろんこれだけではいけないと思うのですが、診察室に入ったとたんに採血針を持ってしまうような診察はしたくないものです。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、写真は角化症を起こしたウエスティーの下腹部のものです。ウエスティー遺伝的(まだ明らかではありませんが)に頸部から下腹部、あるいは四肢に重度の角化症を起こしやすいようです。この角化と同時に色素沈着や脱毛、掻痒がみられ2次的な感染症へと進行していきます。正直、この皮膚病は獣医泣かせなもので有効な治療法が確立していません。2次感染を起こさないように注意すること、角化を進行させないよう皮膚に尿素系のクリームを塗布してあげることなどが大切です。
ご存じの方も多いかと思いますがアメリカには、OFA(Orthopedic Foundation for Animal)という遺伝性整形外科疾患(股関節形成不全や肘異形成など)の診断と登録を行い、繁殖することが可能か否かを診断してくれる団体があります。整形外科疾患に関わらず遺伝する可能性のある疾患は繁殖するべきではないでしょう。その疾患に関わるすべての動物およびその関係者(特に飼い主)に大きな精神的ダメージを与えかねないからです。
最近、神奈川県相模原市にある麻布大学の陰山先生が同様の組織を設立されたようです。これによって少しでも、国内の遺伝的整形外科疾患の患者さんが少なくなってくれると良いのですが。繁殖を考えられている飼い主さんで、少しでも不安がある方は是非獣医さんに相談するべきですよ!
春一番が吹いたとはいえまだまだ寒い日が続いています。こんな時期には雄猫の“尿閉”が起きやすいようです。どうして起きるのかと言うと、トイレが汚れていることで長時間排尿を我慢してしまい、突発的な膀胱炎になることで血尿や尿石(砂)が2次的に起こりこれが尿道を塞いでしまうのです。あまりに早い時期に去勢をしてしまった雄猫では特に多く見られやすいんです。
“尿閉”は様子を見過ぎてしまうと、腎臓の機能を失ってしまったり命に関わる状況に陥りやすい病気です。この時期は特にトイレの汚れや排尿量を良くチェックしてあげてください。
今日はバレンタインデーというわけでチョコレート中毒のお話しを!これって犬猫にとってちゃんとした病名として存在する病気なんですよ。チョコレートの中に含まれる“メチルキサンチンアルカロイド”というものの過剰な摂取によって中毒症状を起こすものなのです。
摂取した量にもよるのですが重度な場合には死に至る場合もあるんです。だから“今日はバレンタインデーだからチョコあげるね〜”なんて事はしないでくださいね。
勤務医時代、ずっと診させてもらっていた患者さんに“実家の病院に戻るので3月いっぱいでお別れなんです。”とは話したときに必ずと言って良いほど“最後まで診てもらえないのは残念”という言葉でした。これって非常にありがたい言葉ですよね。大きな病院では何年かの周期で先生が入れ替わります。そうすると担当する先生も代わることがありますが、これが患者さんにとっては結構な不安材料になることがありますよね。けれども患者さんにとっては欠点ばかりではないと思います。
ずっと同じ先生に診てもらうということは何でもわかってもらっているので安心という考え方も出来ます。けれども大きな病院では何人もの先生が様々な見方・考え方で診察するため病気の見落としは限りなく少なくなるのではないでしょうか?先生が代わることは診察も新しい視点から診てくれると言うことで、治療も今までと違ったアプローチをとることでペットに対しての負担が少なくなることもあると思います。
もうすぐ大きな病院では先生が入れ替わる時期です。不安に思われる方も多いと思いますがプラスの方向に考えてみられてはいかがでしょう!また良い先生に巡り会えるかもしれませんよ!
患者さんに“プロハンドラー”さんがいます。こちらに戻ってきて初めて聞いた職業のため最初は“どんな仕事なんだろう?”と思っていたのですが、Dog Showの会場に行きその仕事ぶりを見て“これはすごい世界だ!”が最初の感想でしたね。
今日は夜8時よりそこで働いているハンドラーさんを対象に勉強会を開く月なのです。身近な病気や預かっている犬を管理するにあたって注意して欲しいことなどをその月その月で題目を決めて勉強しています。皆さん非常に熱心なのでこちらも気が抜けません。けれどもこの勉強会がきっかけで日常のちょっとした事故が防げれば私としても幸いです。
大型犬に多いのですが、ヒトで言う肘・踵の部分は毛が抜けて写真のように皮膚が硬くなってしまいますよね。このように硬くなってしまうと毛が新たに生えてくるのは非常に難しいでしょう。このような皮膚の状態を“胼胝(べんち)”といい皮膚の角質層が肥厚(厚くなる)してしまったことで起こります。
正直、このような状態にしないように予防することが大切です。床が固いところで生活しているとこのような状態になりやすいので床材に工夫が必要です。また症状が軽いうちは“ケラチラミン乳状液”が結構効果あります。写真のように“タコ”のようになってしまったら尿素入りのクリームで根気よく治療するしかありません。お肌のケアーはヒトと一緒で大切ですね!
本日8日は私の誕生日です。今年の3月でリニューアルオープンしてまる2年、3年目へと突入します。何か新しいことをと思い昨年からホームページを始め少しでもお役に立つ情報を提供出来るよう心懸けてきましたが、1つ年をとったことでまた新たに何か目標を立てそれを実現できるようがんばらねばと思っております。30歳を過ぎると1年が非常に早く過ぎて行く様な気がします。ただ1年を漫然と過ごしてしまわぬように今年は学会などに積極的に参加(発表する側として)したいですね。
明日からもさらにこのホームページが充実するようがんばっていきます!
獣医が専門的なことを知っているのは当たり前のことです。でなければ診断から治療が出来ないのですが、それだけではいけないんですよね。と言うのも患者さんにとって専門用語を並べ立てられた説明や話では正直解りませんよね。難しい言葉をかみ砕いて説明したりその中にちょっとした雑学を交えて説明した方が理解していただけますし、患者さんとのコミュニケーションもとりやすくなりますしね。(最近は鳥インフルエンザのことでご質問を受けることが多いです)
ちょっとした雑学も解りにくかった説明を解りやすくしてくれます。このHome Pageを訪れてくださった方で“こんな本も読んでみるといいですよ!”と言った本があったら是非Commentに書き込んでください。お待ちしています。
と言えば皆さんおわかりになると思いますが、犬猫にもヒトと同じように白内障があります。ただしその種類には老齢性・若年性・病因性(糖尿病による)に分類されています。一般的には7歳過ぎ頃から起きる老齢性白内障がほとんどですが、まれに1〜2歳未満で発症してしまう若年性白内障というものもあります。これは遺伝的なものが多いのですが、症状は白内障ではとどまらず失明にまで至る事もあるようです。
どの白内障についても有効な予防手段はありませんが、点眼薬によってわずかではありますが進行を遅らせることが可能です。快適な老後を過ごさせてあげられるよう早めの対策をとってあげてください。
犬が何かをして欲しいときに吠えたり、猫がおもてに行きたいがためにずっと扉の前で座り込みをしていたりと、彼らの行動には必ず何かしらの意味があります。例えば犬が飼い主さんに向かって吠えたとすると“そろそろ〜の時間だね”といった具合に吠えたことに対しての要求を満たしてしまうことが多いかと思います。扉の前で座り込みをしているからといって“さあ遊んでおいで”といった具合におもてに猫を出してしまうことは、伝染病に感染したり望まない交配の原因となります。
このように彼らの要求をすぐに満たしてしまう飼い主さんの行動は、思ってもいない弊害をもららしてしまうことがあります。ここは飼い主さんとペットの根比べです。決して根負けしないでくださいね!
新しい犬猫を飼い始めたときワクチンはいつ接種すべきか?というご質問を受けることがあります。母子免疫というものがあるのをご存じですか?これは胎盤や初乳を介して母体から子供に受け継がれる免疫のことなのですが、しばらくの間はこの母子免疫が子供を病気から守っています。母子免疫が成立しているときはワクチンを接種しても充分な効果を得ることは出来ません。かといってあまりワクチン接種が遅くなっても病気にかかってしまいます。
“それではいつワクチンを接種すればいいのか?”ということになりますよね。厳密な話をすると母体の免疫状態の抗体価を測定しその半減期から算出するという、私たち獣医もごめん被りたい面倒なやり方もあります。一般的なところでは生後6〜8週齢で最初のワクチンを、そして12週齢に2度目のワクチンを接種するというのが良いのではないでしょうか。ワクチンは早く打てば良いというものでもなく、何回も打てばよいというものでもありません。しっかりした接種の仕方でよりよい免疫状態をつけてあげましょう。