飼い主さんがペットの異常に気づき来院され、私たち獣医は稟告に基づいて検査・診断をしていくのですが、病気の診断がしっかりつかみ切れる場合ばかりではありません。正直、確定診断に至らないこともあります。レントゲンなどのように画像によってしっかりつかみきれるものなら良いのですが、内科的なものだと発症するまでのメカニズムをしっかり理解していないと、治療も説明もとんちんかん(死語かな?)なものになってしまいます。最近、生理学からはいっていく内科の本を購入し新しい知識を得られるよう読み始めました。病名はわかってもメカニズムが解らないうわべだけの獣医にならないように・・・。
Petを飼い始める動機というものは人それぞれ様々だと思います。癒しを求めるためだったり、新たな人生の友としてだったりと、楽しいことのみを思い描いている方がほとんどで、最初から“死”のことを考えてPetショップに行かれる方はいないでしょう。けれども“生”あるものはいつかは終わりを遂げるときが来ます。それが寿命のためか、病気のためか、あるいは突然の交通事故で訪れるかはわかりませんが、本当に最後までその命の面倒を見ることが出来る心構えが必要ではないでしょうか。決してブームに踊らされて1つの命を買ってしまう、といった安易な気持ちでPetを飼い始めて欲しくないものです。
大学1年生の頃からの先輩で、永岡犬猫病院時代も一緒に寝食をともにした先輩が2月1日に開業します。その先輩の病院の披露パーティーのため本日午後の私の診療はおやすみさせていただきます。大学時代を過ごした藤沢での先輩の開業、自分も久しぶりに藤沢に行けるのでちょっと楽しみです。(注・本日のEntryは27日に書かせてもらっています)
犬猫を飼っている方なら必ずといって経験する病気が“下痢”ではないでしょうか。脱水症状や嘔吐をともなっているような場合は病院での治療が必要になりますが、食欲はあるけど下痢気味!といったときはまず食餌療法でしょう。今日はご自宅でも簡単に出来る消化の良い食餌を紹介しましょう。
まず茹でた(あるいは焼いた)鶏肉(ササミがよいでしょう)、赤身の挽肉(体質によりますが牛・豚・羊)、お米(お粥にしても良し)、低脂肪のカッテージチーズ、ジャガイモを茹でたもの、パスタ(ただ茹でたもの)などがよいようです。これらを少量で頻回与え、便の様子が落ち着くまで使用すると良いでしょう。さて割合ですがお米あるいはジャガイモを2に対し、鶏肉・赤身の挽肉を1といった配合がよいようです。
個人的にはまる一日食事を抜いて胃腸を休ませ、次の日から上記のような食餌を与えるのがbestかと思いますよ!
犬でも猫でも長毛種の子は被毛のケアーをちょっとさぼってしまうと毛玉になってしまいます。初期毛玉ならばブラッシングで何とかなるのですが、フェルトのように固くなってしまうとどうにもなりません。そんなとき良くはさみで毛を刈ろうと試みる方が多いのですがこれは危険です。というのも毛玉なのか皮膚なのか見分けが付かず皮膚を切ってしまう事故が結構あるんですよ。毛玉にしないことが一番なのですが、もしなってしまったらはさみは使わずバリカンが一番です。皮膚を切ってしまう事はまず無いですよ!(お持ちにならない場合は近所の美容室や動物病院に相談すると良いでしょう。)
雌犬にとって子供を育てるために子宮という臓器は大切ですが、8歳位を過ぎると人と同じように閉経という時期を迎えます。ちょうどこの時期に子宮蓄膿症にかかってしまう場合があります。どんな病気でもそうですが特に子宮蓄膿症は発見時期が遅れると命に関わる位怖い病気です。今日も子宮蓄膿症を患った犬が入院し急遽開腹手術になりました。(摘出した臓器の写真をご覧になりたい方は続きをご覧ください。)開腹するタイミングは非常に難しいのですが、体が病気に負けているかいないかを良く見極めないと、手術は成功しても術後にダメになってしまうこともあります。
8歳を過ぎて避妊手術をされていない飼い主さんは、良くペットの様子を観察してあげてください。どんな病気でも早期発見がカギですよ!
(写真の中にある定規は18㎝のものです。)
病気の場合どちらが早く治ると思いますか?急性の方が治りやすいのは皆さんご存じですよね。熱がでるということは、体温を下げるために汗をかかせ体内から熱を奪わせるための正常な反応です。確かに熱がでることは辛いです。けれども体の仕組みのことを考えずに安易に解熱剤を使ってしまうことは、余計に体の調子を崩してしまうことにつながります。このようなことが重なることで、病気の慢性化につながり回復を遅らせる原因となります。私たち獣医師も薬を選択するにあたって慎重を期さなければならないものだと痛感する1日でした。
というと一般的なところで胆石・膀胱結石が挙げられます。本日は膀胱結石の手術を行いました。まだ9ヶ月齢の雄犬で5ヶ月齢位から頻尿と血尿を煩っていたそうです。正直私もこんな若齢の犬に1㎝大の結石が出来ているとは思ってもいなかったのですが、レントゲンを撮ってみてビックリといった感じでした。術後の排尿状態も良好ですが、また結石が出来ないようにこれから食生活に何らかの規制が必要となるでしょう。こんなに若いうちから・・・と思うと少々かわいそうですが、再発しないようがんばっていきましょうね。
少なからず毛を刈ります。人でも盲腸の手術では“下の毛”を剃ってしまうそうです。これは術野の妨げにならないようにといった意味もありますが、毛に付いている細菌が感染を引き起こす可能性があるからです。これは犬猫でも同じ事。というか犬猫の方が感染の可能性は高いものとなるのです。健康な状態ではバリアーとして働いてくれる細菌でも手術などで抵抗性が落ちた体にとっては有害なものとなるからです。
“手術の際、毛を刈らないで”といった希望もありますが、清潔で安全に手術を進行させ速やかに術後を回復させるためにも必要最低限の毛刈りにご理解を!
何らかの病気が分かったとき、“あのときこうしていれば”とか“早く病院に来ていれば”などというコメントを患者さんの口から発せられることがあります。確かにその時手を打っていれば回避できたことかもしれません。検査もまめにしていれば早期に発見できていたかもしれません。けれども後悔している間も病気は進行していき、そうしている間もあなたのペットは苦しんでいるわけです。
大切なペットが病気になったとき、気をやんだり後悔しない飼い主さんはいないと思います。けれどもこんな時こそ、少しでも早くペットが病気から解放されるように“気持ちのベクトル”の方向を治療に傾けてあげてください。ペットもそれを望んでいるはずですから。
猫の飼い主さんにとって“洗濯ネット”に対してのイメージはいかがなものでしょうか?あまり良くない方のが多いかもしれませんね。当院では初めて来院される場合や、手術のためにお預かりする場合は洗濯ネットに入れて来てもらうようにしています。と言うのも、いつもはおとなしい猫でも初めての病院に連れてこられる事は、いつもと違う雰囲気を感じ逃げようとしたり、自分たちに威嚇したりすることは不思議ではありません。
以前、手術のためお預かりしたチンチラの子は、“ほんとにおとないいから・・・”と言うことでそのままお預かりしたのですがやはり飼い主さんが居なくなると豹変し、とても麻酔をかけられるような状態ではなく、病院中を逃げ回る事態にまでなったこともありました。
当院だけではないと思いますが、“洗濯ネットに入れて来院してください”と言う理由はこんなところにもあるのです。少しでもストレスの少ない治療のためにも、初めての来院の際にはご協力お願いします。
今日は朝1番でこの前診断したチワワの帝王切開があり、2匹の元気な赤ちゃんが産まれました。お母さんの子宮のなかで目一杯大きくなっていたため、飼い主さんにも“切ってもらってよかった”と言っていただけました。ここのところおめでた続きでしたが、さすがに自分の知る限りではもうしばらくないでしょう。あとは産後のケアーがうまくいくようフォローしなくてはいけません。みんな無事に成長してね!!
どんな病気でもそうなのですが意外なことが原因で症状を見せることがあります。勤務医時代のことなのですが、レトリバーが後ろ足を引きずるとのことで来院されたのですが、レントゲンでも異常は認められず一体何が原因なのだろう?と思っていると原因は1匹のダニでした。ダニが指の間で吸血をしていたのです。
犬猫の病気についていろいろな情報が氾濫し、いろいろなことを考えてしまいますが、以外とちょっとしたことが原因で今の症状を引き起こしているかもしれません。病院に行く前にまず焦らずにできる範囲で確認してみるといいでしょう。
室内を24℃位に設定すると非常に快適に過ごせますよね。ところが床上30㎝位までのところで生活している犬猫が感じている温度は設定した室内温度よりも低い事が多いのです。(もちろん床暖房なら問題はないでしょう)特に生まれたばかりの幼い犬猫や心臓病を患っている犬猫にとって30分でも非常に寒い空気を吸っているだけでも肺炎になります。これは冷たい空気により抵抗性の弱った気管支粘膜が炎症を起こすために発症するのですが、室内の空気を循環させることで床付近の空気も暖まりこのようなことを防ぐことができます。飼い主さんもペットの目線で生活環境を整えてあげられるよう心懸けてみると未然に病気を防ぐことができますよ。
犬猫を相手にしていればこれも仕事のうちです。とは言ってもできれば咬まれたくないものです。やはり咬まれれば多少なりとも不自由しますし、利き手を咬まれれば処置や手術などで思ったような力を発揮することもできなくなってしまいます。
やむおえなく咬まれることもありますが、ちょっと獣医さん側からのお願いです。新しい家族として犬猫を迎え愛情を注がれることは大切なことだと思います。けれどもその愛情も間違った方向に進んでしまうと、可愛いかったペットが手のつけようもないわがままなペットにもなりうることもあるのです。せめて家族の方のどなたかがしっかりコントロールできるようしっかり教育してあげてくださいね。
今年第2号のおめでたです。2㎏ちょっとのチワワなので飼い主さんも最初から安全を考えて帝王切開を希望されています。予定日は18日、どんな毛色の子犬がでてくるか楽しみです。1月におめでたいことが2つも続く事は病院にとってもうれしいことです。今年は何か良いことがあるといいなぁ!
10日に妊娠診断でレントゲンを撮影したダックスが本日無事に5匹の赤ちゃんを出産しました。産気づいたとの連絡を頂き何とか自然分娩で!と思っていたのですが、どうも陣痛が微弱でいきむことができない様子、帝王切開となりました。お腹がすっきりしたお母さんは5匹の赤ちゃんそっちのけでくつろいでいました。さあ、明日からかんばって面倒を見てあげてくださいよ!お母さん。
1月になり10日が過ぎました。当院は通常通り木曜休みで2日から4日にかけては診療時間を短縮して病院をあけていました。例年通り何件かの初診患者さんがいらっしゃったのだがそのなかでも“重症(あるいは急変することが予測される症状)なものにも関わらずかかりつけの病院にどうしても連絡が取れない”というものがあった。患者さんに聞いてみるとかかりつけは1週間近いお正月休みを取っているとのことでした。
獣医とはいえ家族もいるでしょうし、もちろん休みも欲しいというのは本音です。規模の大きい病院ならローテーションを組んで年中無休体制を取ることができますが、1〜2人での個人病院では辛いことです。けれども心臓病を抱える高齢の動物やこれからお産が年末年始にかかる可能性のある動物の飼い主さんに対して救急の連絡先くらいは教えてあげるべきではないでしょうか?もし連絡先を教えることができないのなら親しい先生を紹介しておくといった事はできないのでしょうか?
とはいえ当院も夜間は留守番電話にしてりますし、決して万全の体制ではありません。けれども1週間の休み中まったく電話を受け付けないと言うのはどんなものか?と思うお正月でした。
新年を迎えて早速おめでたいことです。旧年中に超音波検査でおめでたを確認していたダックスが、お産前の最終レントゲン検査で来院されたときの写真です。もともとあった体重よりも1㎏増え、はちきれんばかりの胴回りになっていました。予定日まであとわずか。出産するまで飼い主さんも自分もドキドキの日々です。できれば自然分娩が一番なのですが、いつでも帝王切開の準備を整え待機していなければなりません。毎度の事ながら緊張しますね!
体の中の臓器(心臓、肝臓、腎臓など)は基本的には無菌的な状態にあります。ところが消化に携わる臓器は外の世界に接しているため細菌感染が起こることがあります。獣医の世界に超音波検査機(エコー)が導入されるまではなかなか診断が付かなかった病気に胆嚢炎というものがあります。最近ではほとんどの病院がエコーが導入されているのでこの病気を見極めるのにさほど時間を費やさなくても診断がつくようになりました。
健康な胆のうは写真のように(黒い円形様)写るのですが、炎症や胆泥(石)となると黒く写らず白く濁って写ったりします。ちょっとした嘔吐でも思わぬ病気が隠れていることがあります。ある程度年齢になっている場合は健康を過信せず、検査を受けることをお勧めします。
老化を受け止めると言うことは飼い主さんにとっては非常に辛いことだと思います。自分よりも小さいものや、あとから家族になったものというのは自分の年齢より若いようなイメージがあります。ところがある時期を過ぎるとそれは知らないうちに逆転し、自分より年上になっていることを健康診断や病気になったことで気が付きます。本日来院されたアメショーも日常のお話を聞いていくと少々痴呆気味のようで、飼い主さんも理解されているようでしたが寂しそうに自分のペットを見てらっしゃいました。
生き物を飼っている上で“老化”や“死”はつきものです。突然やってくる場合や老化とともにやってくる場合があります。悲しいことですが心のどこかにはそれを受け止める心構えを持っている事は大切かもしれませんね。
医の付く仕事は肉体労働か頭脳労働かと言われると、どちらかというと前者の割合が多いかもしれないですね。デスクワークはまずありません。30㎏級の犬は診察台に持ち上げなければなりませんし、お産となれば早起きしての分娩介助や深夜の帝王切開もこなさなければなりません。勤務医時代には多いときで週2回は夜勤をこなし、数時間休憩し午後の診療をこなすといった生活をしていましたが、公休以外に休んだことはなかったんですよ。やはり若さというかpowerが違いましたね。とはいえ勤務を休んだり早退する人間も居たことを考えると体力という能力はあったのかなぁと思いますね。永岡先生も医者の能力として必要なものの中に“体力”を挙げてました。どうやら体力には恵まれているようなので、あとは総合的な診断力と得意分野の能力を向上できるよう今年もがんばらねばなりませんね。
今年のお正月は比較的平和でしたねー。とは言っても元日から腰抜けのワンちゃんが来たり、交通事故が来たり、骨折疑いの患者さんだったりとほとんどが初診の方ばかりでした。とりあえず応急処置のみを希望する患者さんや、そのまま入院せざるおえない患者さんももいらっしゃいましたが昨年と比べると静かにお正月を過ごさせていただきました。
さて明日から一般の方ほとんどが仕事始め。当院も通常通りの診察時間にて診療させていただきます。今年も健康管理を重点により分かりやすい診療を進めていくよう心懸けますので、不安に思ったことは何でもご相談ください。それでは今年もよろしくお願いします。